嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
話しやすく大人の落ち着きのある加奈子さんは、唯香ちゃんとはまた違った魅力のある女性で、一緒にいると不思議と心地よかった。

伊織くんと個別で連絡を取ることはなく、やり取りはいつも加奈子さんを含めた三人のグループチャットだ。
食べたスイーツの写真を投稿して、報告し合ったりしている。

「あー、実は昨日食べたんだよね」

伊織くんは肩をすくめた。

「え、昨日も来たの?」

「うん。暇だったから偵察がてら来たんだけど、ちょうどラスト一個だったから注文したんだ。写真もバッチリ撮ってるよ」

伊織くんはスマホを取り出して、画面をこちらに向ける。
そこには、さっきメニュー表で見たマロンパフェが、いろんな角度から何枚も撮影されていた。

「本当なら写真を投稿しようとしたけど、麻里ちゃんの楽しみを取ったら悪いかなと思って、我慢してた」

悪戯っ子のように笑う。
そのとき、テーブルのそばに店員がやって来た。

「お待たせしました。渋皮栗のマロンパフェとモンブランです」

テーブルの上に置かれたスイーツを見た瞬間、頬が緩んだ。

パフェグラスの中でマロンクリームが渦を巻き、ところどころに白玉が置かれている。
パフェの頂点には大きな渋皮栗の甘露煮がのっていて、金箔まで散らされている。
さすが期間限定だけあって、見た目からして特別感がある。
私はスマホをバッグから出して写真を撮った。


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