嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
真ん中にあるほうじ茶ゼリーのほろ苦さが、濃厚なマロンクリームの甘さを引き締めている。
底にある甘酸っぱいカシスソースが、いいアクセントになっていた。

甘い、ほろ苦い、甘酸っぱいなど、一口ごとに違う味わいが楽しめる贅沢なパフェだ。

「やっぱり、期間限定とか数量限定は絶対に一度は食べないと駄目だよね」

「当然!」

会話を弾ませながら、私は夢中になって食べ進めていた。

「ひとりでスイーツ巡りするのもいいけど、麻里ちゃんみたいに気の合う人と一緒に行ってあれこれ話しながら食べるのも楽しいな」

「うん、私もそう思う。あのとき、伊織くんが話しかけてくれてよかったよ」

笑顔で答える。
私は自分からグイグイいけるタイプではないので、友達作りが得意な方ではない。
いつも、話しかけられるのを待ってしまう。

一度仲良くなってしまえば、楽しく話せるんだけど、最初の一歩がなかなか踏み込めない。
社会人になっても、私の人見知りは健在だ。

「麻里ちゃんがそんなふうに思ってくれて助かったよ。だってさ、普通に考えたら、見ず知らずの男が『スイーツの写真だけ撮らせて』なんて言うのは怪しすぎるだろ」

「確かにね。私も最初はナンパかもって思ったからね」

伊織くんに話しかけられたときのことを思い出して笑う。

「だよな。あのときはマジで無意識に声をかけてたから。自分が食べられないならせめて写真だけでも撮りたかったんだよ」

そんな話をしているうちに、二人ともすっかり食べ終わっていた。

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