嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
二人の本音
最終日の日曜。
特に大きなトラブルもなく、イベントは大盛況のうちに終わった。

余韻に浸る間もなく、撤収作業に取りかかる。
大まかな片づけが終わったところで、社長が口を開いた。

「今日はみんな疲れているだろうから、この辺で終わらせて残りは明日にしよう」

その言葉に甘えて作業を切り上げ、私たちはそのまま打ち上げ会場の居酒屋へ向かった。

店に到着すると、予約していた広めの個室に案内される。

「二日間、お疲れ様」

社長の乾杯の合図に、みんなが一斉にグラスを持ちあげた。
イベントの話に花を咲かせたり、いつものように盛り上がる。
私も料理を摘まみながら、北見さんたちとの会話を楽しんだ。

明日は月曜ということもあり、そろそろ帰ろうという雰囲気に変わっていく。

「じゃあ、今日はこの辺でお開きにしようか」

社長の一言で、みんな帰り支度を始めた。
私もバッグを手に取って立ち上がる。
そのとき、背後から声をかけられた。

「麻里奈ちゃん、このあと少し時間もらえない?」

振り返ると、そこにいたのは町田さんだった。
いつもとは少し違う、真剣な表情に首を傾げる。
なんだろうと思いながら、「いいですよ」と答えた。

店を出ていく人たちの背中を見送り、私たちは少し遅れて店を出た。
居酒屋の喧騒から離れ、しばらく歩いたところで町田さんが足を止める。

「どうかしたんですか?」

不思議に思って尋ねると、町田さんは深く息を吸い、真っ直ぐに私を見つめた。

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