笑顔をくれた駅員さん




私は、駅員さんに机の事件をすべて話した。




駅員さんはいつものように相づちを打って聞いてくれた。




私が話し終わると、何も言わずに頭を撫でてくれた。




頭を撫でられるだけでいじめられていたことを忘れてしまう私は




単純だな。




「そっか…辛かったなあ。」



「うん…。でもね…

私、ずっと考えてたんだけど南原さんって本当は悪い人じゃないと思うんだよね…」



「どうして?」



「南原さんが私に関わり始めたのは、奏斗くんと仲良くしてからだったの。それで噂だけど南原さんは奏斗くんが好きだから、私に嫉妬してしまったんじゃないかなあって…」




「莉子ちゃんは南原さんって子のこと嫌だと思わないの?」



「うん…最初は憎くてしかたがなかったよ。でも…自分の好きな人と自分じゃない違う人が仲良くしていたら、付き合っていなくても嫉妬しちゃう気持ちなんとなくわかるんだ…。南原さんの気持ちを知っていて奏斗くんとファミレス行ったりしてた私も悪かったなあって…」





「そうか…」




駅員さんはまた私の頭を撫でた。




さっきよりも、ずっと優しく。



「莉子ちゃんは、いい子だな…。普通そんなふうに思えないよ。その気持ち、俺じゃなくて南原さんに直接伝えな。そしたら絶対分かり合えると思う。」




「伝える…」



「うん。絶対なんてないけど、ちゃんと話せば莉子ちゃんのことわかってくれるはずだよ





駅員さんは私に答えを導いてくれる。


一緒に解決してくれる。


やっぱり私のヒーローだね。



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