笑顔をくれた駅員さん



駅員さんの目がどんどん大きくなる。



もしかして…

本当に…




背中に変な汗が流れる。



聞こえてくるのは私の心臓の音と通過していく電車の音だけだった。





そんな2人の沈黙を破ったのは駅員さんだった。




「アハハ!莉子ちゃん何言ってんの?俺の名字は富永だし、前に莉子ちゃんが言ってたお兄さんの名字は岡本だろ?違うよ!」




…そっか



そうなんだ…



よかった。





でも胸がチクッと痛んだ。



本当は…お兄さんだったらよかったのになんて思っている自分がいる。



また、お兄さんに会いたいと思っている自分が。




前に進むって決めたのに、全然前に進めていないじゃん。




ダメだなあ、私



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