笑顔をくれた駅員さん
ラーメン屋に行くためにショッピングモールを出た私たち。
さっきの胸の痛みは今は気にしないことにした。
明日優衣に相談できるし。
10分ほど車で走ったところにそのラーメン屋さんはあった。
______ガララララララララ
「いらっしゃい!…おっ兄ちゃんじゃねえか」
「お久しぶりです」
小太りで愛想の良いおじさんが1人で店を切り盛りしているみたいだ。
お店に入った時点でラーメンのいい匂いが漂っている。
「なんだ、兄ちゃん。女ができたのかあ?」
「あはは!そんなんじゃないですよ」
当たり前の事を言っているのに、なぜか泣きそうになった。
唇をぎゅっと噛み締める。
2人で奥のカウンターに座り、メニューを開いた。
「莉子ちゃん何頼む?」
「駅員さんのオススメは?」
「俺はね、味噌ラーメンが好きなんだ~」
「じゃあ、私も味噌ラーメンにする!」
「了解。おじさん、味噌ラーメン2つね!」
「はいよ~」
しばらくすると味噌ラーメンのいい匂いが漂ってきた。
「いい匂いだね~」
「あはは!感激するのはまだ早いぞ!」
「そうだね。そういえば明日から文化祭の準備が始まるんだ」
「文化祭?2月に?」
「そう。珍しいでしょ?外でビラ配りとかすると寒いんだよ…」
去年私はビラ配り担当だったため、門の近くで4時間働いたのだ。
「去年はあのあとしもやけで手がパンパンだったよ…」
「あはは!それは大変だな。俺も行こうかな、莉子ちゃんとこの文化祭」
「え!?」
来てくれるの?
駅でしか会えないから、学校出会えるなんて夢見たい。
それに校内を好きな人と一緒に歩くことに憧れていた。
一気に妄想が広がっていく。
「文化祭いつあるの?」
「3月の頭にあるよ!」
「了解。休みだったら友達と行くわ」
「う、うん!」
今年の文化祭は一生忘れられない文化祭になりそうだ。