御曹司と恋のかけひき

16話

買ってもらったランジェリーを持って帰宅。

アパートの扉をあけようとして、違和感を覚える。

鍵穴がこじ開けられていたのだ。

あわてて扉を開けると、中は散々たる有様だった。

6畳一間のアパートを見渡すと、書籍や家電には液体がかけられており、
服は散らばり切り裂かれている。

パーティの為に買った12万の靴も、壊されていた。

本来なら警察に連絡すべき所だが、会社関連の人が犯人の可能性も高く、
藤沢さんが会社社長の息子と考えると、社会的問題になった時、
会社のイメージが落ちる可能性がある為、それはできなかった。

まず、ごみ袋を沢山買い、元々一人暮らしで食材の少ない冷蔵庫の中身を
全て捨て、電源を抜く。

服も、タンスなど置く余裕がなく、ダンボールに入れて積んであった物を、
ごみ袋に入れていく。

3つあるダンボールの一番下に古い服にくるんであった箱を見る、
パーティの練習の時に買ってもらったネックレスは、
犯人に見つからず無事だった。

通帳はたまたま持っていた為無事で、ハンコは壊されている、
持ち帰られてない事に安堵し、それも捨てた。

家電と言っても、パソコンとオーブントースターぐらいで、
電子レンジも、炊飯器も、ポットも、テレビも、クーラーも何もない。

食器は全て割られていたため、これも捨ててしまうと、
部屋の中はほぼ空になった。

一通り片づけた時は夜の10時になっていた、
今日は土曜日、とりあえず、会社に着ていく物は明日買うとして、
今日はどうしようか。

少し迷った後、京子さんのアドレスを呼び出した。
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