御曹司と恋のかけひき

18話

次の日、朝の9時ぐらい、
直哉さんが京子さんのマンションにやってきた。

どうして?と京子さんを見ると、
「直哉さんだったら、大丈夫だよ」
と笑顔で答えてくれた。

直哉さんは、迷惑かけたねと、京子さんにお土産を渡して、

「行こう」

と私の手を引いた。

京子さんは手を振って、見送ってくれている。

「すぐ頼れないような男でごめん」

車に乗り込むと、直哉さんが謝ってきた。

「どうして?謝るような事じゃないよ」

「それでも・・・」と言葉をにごしてしまう。

いつものくせで、それ以上車の中で会話する事はなかった。

しばらく車を走らせていると、大きな一軒家に到着し、そのまま車を停める。

「ここは?」

と聞くと、

「僕の家」

と返ってきた。

車から降りると、手を繋いで、家へ入っていく。

本気で付き合うか考え始めた矢先なのに、と戸惑う。

家にはご両親もいて、事情は聞いているよ、大変だったねと、
声をかけてくれた。

部屋は裕美(ひろみ)が使ってた部屋を使ってくれていいからと、
部屋に案内された、

直哉さんは3人兄弟で、一番上が直哉さん、
弟に雅紀さん(都内のマンションに一人暮らし)、
そして、今アメリカの大学に留学している裕美さんがいる。
後、施設におじい様がおられ、6人家族なのだ。

元々住んでいたアパートは、直哉さんの方で処理するので、
何もしなくていいと言われてしまった。

身一つと言うか、昨日の服装とバッグ、買ってもらったランジェリー、
そして無事だったネックレス、
これだけで藤沢家に居候する事になってしまったのだ。
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