御曹司と恋のかけひき

19話

藤沢家は社長宅だけあって、インテリアもモダンに統一され、広々としている。
居間にはまきストーブもあり、冬には実際に火も灯すらしい。
もちろん、これは飾り物としての意味合いも強く、
空調は完璧にコントロールできる。

お手伝いさんも住み込みの人が一人、
後は二人程、契約しているお手伝いさんがいる為、
家事など何もする事もない。

服などは、ご両親は繊維関係の商社の社長と専務。
あっと言う間に、元々持っていた服の2倍の量の服が用意されてしまった。

「それとこれ」

2時ぐらい、休憩しましょうと、紅茶を飲んでいると、
お母さんから、指輪の入った小さなケースを手渡された。

「これは、万里香さんの物よ」

そう言って嬉しそうにほほ笑む、

「これは私がおばあ様にもらった物なの」

「そんな大切な物・・・」

「直哉のお嫁さんに受け継いでもらえて、本当にうれしいわ」

お嫁さん・・・

否定するのも申し訳なく、穏やかな表情のまま受け取る、
これは、後で直哉さんに渡しておこう。

部屋に戻り、これで付き合うのやめちゃったら、
どうなるんだろうと考えていると、京子さんからラインが入っていた。

直哉さんの秘書の人に頼まれ、パーティの準備したのは、
私で2人目で、1人目は靴を買わずパーティに出席しなかったので、
直哉さんは16人と付き合ってるけど、特別なのは私だけだって。

てっきり付き合っていたのは14人と思っていたので、
2人増えた事に動揺しつつ、
そこでないでしょと自分に突っ込みをいれていた。

パーティに出たのは、自分だけ。

つまり、両親に紹介したのは私だけという事。

今になって、直哉さんの秘書や先輩が不思議そうな顔をしていた理由が分かる。

私大丈夫かな。

部屋を荒らされた時以上の不安に襲われていた。
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