好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「あの、ね?」


「うん?」
 

黎は穏やかな眼差しで真紅を見る。今は隠された、黒い瞳。
 

黎の血から、鬼人として、吸血鬼としての鬼性(きしょう)がなくなっても、吸血鬼の母から継いだという銀色の瞳の色は変わっていない。


「よ、よかったら、持って行ってほしいものがあるんだけど……」


「真紅をか?」


「! な、なななんて不埒なことを言いますか! 姉様! やはりこやつは真紅に近づけてはなりません!」


「はいはい。落ち着きなさい、紅緒」


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