好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
紅緒が冷えた声で呼べば、黎は表情をひきしめる。
「差し出がましいようですが、俺は桜城とは縁を切った身です。今は、ただの小埜黎です」
「さようでしょうが、お前の出自が桜城にあることに変わりはありません」
「………」
「………」
睨みつける紅緒と、それを受ける黎。
その緊張した空気の中へ、真紅が駆けてくる足音がした。
「れ、黎~」
「真紅? どうした」
黎の視線が向かって来て、真紅は内心うめいた。
料理上手の母の手を借りたとはいえ、自分のスキルのなさには、自分で呆れるくらいだというのに。