好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「るうちゃん? うん。黒ちゃんが、傍に置いてくれてる。私がまだまだだから」
真紅の肩口にいる紫色の小鳥は、全く重さを感じさせないので、会話としないでいるとつい忘れそうになってしまうほど近しい存在になっている。
「ふーん。……」
「あの、黎? るうちゃんに喧嘩ふっかけないでね? この前るうちゃん怯えて大変だったから……」
夜道で偶然居合わせた涙雨を、黎はシメあげた過去がある。
「黒藤の式ってだけでなんか腹立つんだよなあ……」
黎がまた物騒なことを言えば、それまで微動だにしなかった涙雨が大きく身を跳ねさせた。
「黎……。黒ちゃんと仲悪いの? さっきは知らないみたいに言ってたけど」