お願い!嫌にならないで
少しずつ体重を掛けられ、それはまるで重さとは別物の圧力をかけられている気分だった。
「重い。重いですって! 山本さん!」
そう叫んで、振り払った相手を振り向き、見る。
案の定、山本くんだ。
そして、その奥にもう1人。
「あきちゃん、辻さん。2人とも、お疲れ様です」
「み、水野さん」
思わぬタイミングで現れた水野さんに、ソワソワしてしまう。
そんな俺は、なかなか情けない。
「今、戻ったんですか?」
「はい。そしたら偶然、駐車場で山本くんと、ばったり会って……」
水野さんが話している途中で、山本くんが遮る。
「で、事務所に向かおうとしているところに、異様な程、仲の良さげな2人と出会したんすよ」
「仲良さげって……」
「2人して、楽しそうに何話してたんすか」
「それは……」
思わず口籠る俺と、中谷さん。
お互いに、自然と顔を合わせて、考えていた。