お願い!嫌にならないで



少しずつ体重を掛けられ、それはまるで重さとは別物の圧力をかけられている気分だった。



「重い。重いですって! 山本さん!」



そう叫んで、振り払った相手を振り向き、見る。

案の定、山本くんだ。

そして、その奥にもう1人。



「あきちゃん、辻さん。2人とも、お疲れ様です」

「み、水野さん」



思わぬタイミングで現れた水野さんに、ソワソワしてしまう。

そんな俺は、なかなか情けない。



「今、戻ったんですか?」

「はい。そしたら偶然、駐車場で山本くんと、ばったり会って……」



水野さんが話している途中で、山本くんが遮る。



「で、事務所に向かおうとしているところに、異様な程、仲の良さげな2人と出会したんすよ」

「仲良さげって……」

「2人して、楽しそうに何話してたんすか」

「それは……」



思わず口籠る俺と、中谷さん。

お互いに、自然と顔を合わせて、考えていた。
< 133 / 239 >

この作品をシェア

pagetop