キミへ告げる想ひ
01-ブランニューデイズ

1,

冷えた空気が彼の体を
攻撃してくる。
白くなる息を
ゆっくり吐き出しながら
青井桂碁は懸命に
足を動かしていた。
先月購入したばかりの制服も
空から舞い落ちる雪で
少し濡れて重くなっていた。

天気予報にあまり詳しくない桂碁も
今日の天気が異常気象だということはすぐにわかった。
というのも今日、四月八日は
これから桂碁が通う美里高校の
入学式なのだった。

未明から降り始めていた
という雪は、
もうすでに周りの景色を
白く塗り始めていた。
このことを桂碁が
知ったのは昨日だが、そのときは
あまり信用してなかった。
なぜなら桂碁が住んでいる地域は
関東平野に囲まれた
S県の北東部にあり、
冬でもめったに降らない場所だったからだった。
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