キミへ告げる想ひ

3,

「あんたの言ったとおり、確かに門は狭いよ」

突然水沢さんはそう言った。

「あれ…もしかして私たちの話聞いてたんですか?」

「ほんとは何も聞かないでおこうかと思ったんだけど、アイドルの話をしてたもんだから…」

「どういうことなんですか?」

桂碁は思わず聞いた。

「けどその前に、桂碁君に聞いておきたいことがあるんだけど、どういう経緯でアイドルになりたいと思ったのか知りたいな」

桂碁は、今まであったことを詳しく水沢さんに話した。

その間、彼女は無言だった。

「多分あたしは彼の話を聞くべきじゃなかったのかもな…」

桂碁の話が終わってからしばらく経ってから彼女は言った。

「水沢さん、過去に何があったのか話していただけませんか?
本当はこんなこと聞くべきじゃないと思うけど」

「桂碁、どうして?」

淋たちはよくわからないという顔をしていた。

「一言でいえば勘かな。
さっき俺たちはアイドルの道が狭いって話してたでしょ。
それを水沢さんは肯定に近い感じで言っていた。

あと、他にもアイドルの話をしてたから俺らの話に加わったっていうのとか。

そういうのがあって、俺はこの人の過去にアイドルに関して何かあったなって直感したということ」

「彼の推理力にはかなわないか…。

わかった。
全部話すよ。
こうやって出会ったのも何かの縁だと思うし…。

でもその代わり話す条件がある。

明日、今日やったところまで一人ずつテストするから全員一発合格すること。

これがあたしたち水沢家の過去を話す条件」

「絶対...条件」

驚いている桂碁たちを尻目に水沢さんは悠々と部屋を出て行った。


また明日。

そう言い残して―。
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