愛し紅蓮の瞳
ここは家から歩いてすぐの、小さな神社だ。
子どもの頃から何度も来ている。

初詣はもちろん、何かお願い事があるときにも来る。

大きな神社じゃないし、
観光地でもない。

こんな雪の日なんて、人の気配すらほとんどない。

それでも私は、昔からなんとなくここが好きだった。

いつものように、鳥居をくぐった、
その瞬間だった。

──ふわり。

冷たいはずの空気が、一瞬だけ変わった気がした。


「……なに?」

足を止める。

風が吹いた?
ううん、そんなんじゃない。

なのに、境内の木々が一斉にざわめいたような気がした。

空を見上げても、静かに雪が降っているだけ。


「気のせいか……」

そう呟いて、私はそのまま参道を進んだ。
誰もいない境内は、いつもよりずっと静かだった。

ざく、ざく、と、雪を踏む音だけが響く。
そんな自分の足音が妙に大きく聞こえた。


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