狂愛彼氏



「愛麗、遅いね」

「そだね」

「また、男遊びしてんじゃない?」


(…また、始まった)


私は心の中でため息を1つ。
愛麗を知ってるわけじゃあるまいし、想像で言うのはどうかと思う。
本当のことを知っている私からしたら彼女の言葉は戯言にしか聞こえない。
いつからかは分からないけれど、真菜は愛麗の事を嫌っているのかこうして悪口を言うようになった。
決まって愛麗がいない時間。
今日みたいに登校していない時に私に言ってくるのだ。


「化粧も凄いし、派手すぎだし」


(個性でしょ……。それに私からしたら真菜も十分派手な部類に入るけどな)


「あんな人に保育者になって欲しくないわ」


真菜は、肩を竦めながら言う。


(私は、そうやって悪口を言う貴女になってほしくないな)


愛麗の一体何が気に入らないのかな?
人それぞれだから好き嫌いあるだろうし、それに文句はいわないけれど、私の前で言うのはやめてほしい。
真菜に言い返したいけれど、言っても火に油を注ぐような気がしていてやめた。真菜は私に言うだけで満足しているようだからただ聞き流すことに徹した。ここで何か言ってさらに愛麗にとって分が悪いことになっても困る。
でも、私にとって親友と言っていいほどの愛麗の悪口を言われていい気がするわけもない。
百万語くらい真菜に言いたいことはあるけれど我慢する。


(イライラする)


心の中でか、家で愚痴ってくれ。


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