狂愛彼氏


イライラしながら聞いていると、真菜が私の携帯を指さす。


「携帯、光ってるよ」


真菜に言われて、私は携帯の存在を思い出した。
結構力強く握りしめていたみたい。


心を落ち着かせながら携帯を開けばメール一件。


(誰からだろう?)


こんな朝早くからメールしてくる人はあまりいない。
不審に思いながらもメールを開くと、目に入ってきた送り主に目を見開いた。


そこには、井上疾風、と表示されていたから。


(疾風さん……?)


驚いたが、こんな朝早くから何か用なのだろうか。
不思議に思いながら開くと要件のみが書かれていた。


(………昨日と同じ時間、同じ場所?)


思わず眉間に力が入る。
何、この単語のみなメール。
主語も目的もない場所のみな内容にあたしはため息を1つ。
同じ時間って何時?
同じ場所ってどこ?
さっぱりわからない。


「どうかした?」

「んーん」


聞いてくる真菜に首を振ってからまたメールに戻した。
疾風さんが、このメールから何が言いたいのか、薄々は分かる。


(今日も会いたいってことよね?)



昨日だけだと思っていたので内心驚いている。
しかし、こんな地味で会話も楽しくない女と会って一体何がしたいのだろうか。



< 25 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop