王族の婚姻をなんだと思っていますか!
そんな算段をつけていたら、父上にガッツリ腕を叩かれて、兄上が木刀を取り落としたところで試合終了。

父上が勝つのはいつものことだけど、いい年して、どういう鍛え方したら、あんなむやみやたらと強くなれるんだ。

「お疲れ様です。おふたりとも、朝食の時間になりましたよ。まずは汗を流していらっしゃい」

ちょうどよく、母上が現れるのもいつものこと。脇に座っていた私を見下ろし、母上は苦笑する。

「あなたもよ、ノーラ。病み上がりなのだから、暖かい格好になさい」

「はぁい」

返事を返して、ドレスを着替えるために部屋に戻る。

ほとんど全快しているんだから、どうかなぁと思うんだけどな。

それでも暖かい服装に着替えて、朝食を食べている間に太陽も昇ってきた。

父上と兄上が、何故か先を争うように屋敷を出ていくと、母上は室内をあれこれ点検し、指示を出し始める。

うちは、父上がああだから、家と領地を守るのは母上の役目だ。

それを横目にしていたら、部屋に戻れと私も注意を受けた。

いつもなら母上を手伝って、家の細々とした指示を出したりもするんだけど、今はさせてくれないから部屋にこもることが多い。

しかたがないから編み始めたマフラーが、すでに完成間近だ。

しばらく黙々と編み続け、数時間経った頃には、困ったことに飽きてしまった。

だって柄じゃないんだもん!
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