私の恋した誘拐犯【完】
それなら洋くんがどこにも行かなかったとして同じこと。



私の元には初めからいない。



洋くんが何か思ってくれればいいのに、なんてふざけた気持ちが原因でたくちゃんと付き合った。



どれもこれも私は最低なことばかりだ。



勢いよく顔に当たるシャワーが、流れ落ちて足元に溜まっていく。



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「洋くんあがったよ」



タオルで頭を拭きながら洋くんを呼べば、またしても洋くんは読書に夢中。



下がる眼鏡を上げる指。



文字を追う瞳。
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