私の恋した誘拐犯【完】
自嘲気味な笑いが漏れたとき、扉からあの男が姿を見せた。



自分の眉がピクリと動く。



「あれ、拓巳くん?」



「ども」



自分でも子供だと思う。



この人の前ではうまく笑えない。



「ちーちゃんのこと送ってくれたんだね。ありがとう」



余裕な笑顔で俺に礼を言うそいつは、手ぶらのようだった。



「どっか行くんすか」



「あー、いや…外の空気を吸いに」
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