護衛の私と主人の君と
雪side



あの後、父さんに言われてお風呂に入って、今はベットの上。



………雫、か。



今日出会った雫は、いつも作り笑いを浮かべていて、時々その作り笑いを見てドキッとするほど、



キレイで可愛い人だった。



近くに居ると、花みたいな甘い香りがして、何だか心地良い。



でも、やっぱりあれは作り笑いだし、敬語で様とか着けてるし、



やっぱり僕達は信頼関係が築けてない。



それに、気を使わせてばっかりだ。



………それから、今日の結愛ちゃんの件、少しおかしかった。



結愛ちゃんと雫は姉妹なのだから、結愛ちゃんのお母さんは雫のお母さんでもあるのに、



雫を見たときのあの表情は、何て言うか娘に会った喜びとかは無くて、困惑とかそういう、



されて心地良い顔付きでは無かった。



でも、そのお母さんが去った後の少しの間、雫がしたあの悲しそうな、寂しそうな顔付きが、



とても儚く見えて、罪悪感が芽生えた。



何も知らないのに、言いたい放題言ってしまった事に。



だから、って言うか、とにかく、明日からの高校生活の中で、



少しは仲を深めたいと思う。



そう思っていると、いつの間にか眠っていた。



雪side end
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