その男、カドクラ ケンイチ





HRが終わり、2年6組の教室はガヤガヤする。




「おいおい。俺は何もしてないぜ。」


ダテ ゆーへいが周りに話し掛ける。




「誰もゆーへいなんて言ってないじゃん。」


オオシマが反応する。



「どうせ先公は疑わしい奴から話聞いてくんだろ。」



「カドクラ先生はそんなことしないよ。」



ダテの左隣に座るノノムラ マキも話に加わる。



「何だよノノムラ。この前と全然カドクラに対する反応違うな。」


「いいじゃん別に。」




「あ!やっばーい。
プリントやってくるの忘れた。」
















カドクラは職員室に戻るとすぐに1限目の授業の準備をする。




ガラガラ

「先生。」



「おおタカハシ。どうした?」



職員室に入りカドクラを呼んだのは6組の生徒 タカハシだった。



「日直日誌。渡し忘れてますよ。」


「あ!そうだった。
ごめんごめん。」




生徒が交代で毎日つける日直日誌。


今日はタカハシの番だったが、カドクラは朝のHRの時に日誌を渡し忘れていた。




「じゃあよろしくな。」



カドクラは日誌を手渡す。


「失礼します。」














“止めれるもんなら止めてみろよ”





バッ

カドクラは後ろを振り返る。



しかしそこには誰もいない。



「気のせいか・・」



カドクラは1限目の授業に向かう。



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