その男、カドクラ ケンイチ








ーーーー


業後


アカイと一緒にオオシマとダテも来た。


カドクラと3人の生徒は面談室に入る。





「やっぱり何かあったんだね。」


カドクラがアカイに尋ねる。




「実は…」


アカイは少し間を空けて口を開いた。





「…2ヶ月ぐらい前から誰かにストーカーされてる気がして…」



アカイの口から飛び出した告白。


カドクラは話を続けさせた。





「最初は学校の帰りに誰かに尾けられてる気がして。

追っ掛けられたとかはなかったんですけど。

でもいつも視線みたいのを感じて。」


「他には何かあった?」



「この前…」


アカイは少し震える。




「これが自転車のかごに入っていました…」



そう言うと封筒を渡す。


受け取ったカドクラは中身を見る。




「これは…」





中には大量の写真が入っていた。


被写体は全てアカイ。


紛れもない盗撮写真だった。






「警察には?」


「言いました。

でも警察も話を聞いただけで何もしてくれなくて。

お父さんもお母さんも働いてるから仕事ばっかりで…」














カドクラの頭の中で全てのつじつまが合った。


(たぶん・・末丸公園でアカイとダテがいたあの日、学校に電話してきた男はストーカーだったんだろうな・・・。)






アカイは涙をこぼす。

オオシマがアカイの手を握る。




「もう怖くて外に出たくない。」





アカイの涙を見て、カドクラの目付きが変わった。



「アカイ、お前は俺が守る。」









第10章 完
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