その男、カドクラ ケンイチ

職員室に戻り、扉を開けると
カドクラの視界に入ってきたのは、
少し小柄な女性とその周りを囲む先生たち。




女性は後ろを向いているので顔はよく分からない。




「お、ナガノ先生!おはようございます。」


隣にいたエンドーが声をかける。




名前を呼ばれた女性がこちらに振り返る。


そしてカドクラは絶句する。
そして察した。


校長の「期待してるよ」
教頭の「具合悪い?逆だよ」
エンドーの「多分もっと混乱すると思うよ」




「おはようございます。
あ、お隣はひょっとして例の新しい方ですか?」


「こいつがカドクラ。俺の1個下でした。

それよりBabyちゃんのほうは相変わらず順調ですか?」


「うん。元気に育ってるって。
予定通り8月に生まれます。」


「産休まであと1カ月とは。早いもんですね。」







ナガノのぽっこりしたお腹を見て、

開いた口が塞がらない。

カドクラはまさにそんな状況に陥っていた。



第1章 完
< 7 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop