その男、カドクラ ケンイチ
第2章 堂々秀の闇

第2章【堂々秀の闇】






ーーーーー校長室


堂々秀高校 第85代校長アザクラは、
コーヒーを片手に金魚に餌を与えていた。




「失礼します。」

ノックと共に教頭が入ってきた。



「お疲れ様です校長。」


「んん。金魚すくいでもどうですか?」


「あ、いえ。それよりナガノ先生の件ですが、
予定通り今月いっぱいで、とのことです。」


「おめでたいですな。」


「2年6組を本当にあの若者に任せても大丈夫なのでしょうか?

あまり大きな声では言いたくないのですが…

あのクラスは…」


「教頭、
金魚すくいがなぜ楽しいか分かりますか?」


「はぁ…。網がすぐ破れて
金魚がなかなかすくえないからでしょうか?」



「網は破れたら新しい網に取り換える。

しかしまたすぐ破れる。

結果、金魚だけが取り残される。」



「カドクラ君はそう簡単には破れないと?」



「あの黒酢高校の不良達と渡り合った。

彼ならきっとうちの金魚も1匹残らずすくってくれるでしょう。」




窓から見える月を眺め、アザクラは2杯目のコーヒーを注ぐ。


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