キッチン・シェア〜びっくりするほど気づいてくれない!〜
昼休みになり、みな続々と席を立ったり、弁当を広げたりし始める。

寒川はきりのいいところまで仕上げてから昼食にしようと、まだパソコンの画面に向かって仕事をしていた。

そこへ、寒川の友人・柳本がやってきて、寒川の様子もお構いなしに肩を叩いた。

「寒川。元気か?」

寒川は少しむっとしながら、柳本の軽薄そうな顔を見た。何故かニヤニヤしている。

「何だよ? もうすぐ終わるからそれからにしてくれ……」

「百合原のこときいた?」

百合原というのは、他部署にいる寒川の彼女のことだ。

最近は連絡を取り合っておらず、顔も合わせていない。

なんとなく、このまま自然消滅するのではないかと思っていたが。

寒川は嫌な予感がした。

「寿退社するんだってよ」
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