【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…


「梨奈…」





センセーの…声?

気付くと自分の部屋のベッドに寝ていた。

なのに白衣が目に映る。






「梨奈、起きたか?」





な、何でセンセーが私の部屋に…
しかも名前で呼んでるなんて…

うん、これは夢だ!

早く覚ましたいような、ずっとこのままでいたいような…不思議な気持ち。





「全然保健室に来ないし、久しぶりに会ったと思ったらこんな…
どんだけ心配したと思ってるんだよ…」





だんだんとセンセーが近付いてきて、私の体を抱きしめる。

センセーの心臓の音がやけにリアルで現実なんじゃないかと錯覚しそうになる。


でも実際のセンセーはこんなに甘い…恋人に向けるような表情をしてくれることはない。





「なぁ、俺から離れんなよ」





ちゅ、とキスを落とされて私の顔は炎が出たように熱くなる。


待って待って!夢とはいえ…なんて贅沢なの!!


やっぱりずっとこのまま…起きないで私!


と願ったのもつかの間。

白い天井が目の前に現れた。


紛れもない…保健室の風景。

夢が…覚めてしまった。

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