【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…


「この学校に来て、初めて内海を見たとき思った。
あの時の子はこの子だ、って」





私が初めてセンセーに会ったのはいつだったっけ?


えっと…確か同じクラスの子が体育で足を怪我して連れてきたとき…





「その時も内海は誰かのために行動してて、ピンと来たよ」





言われていてすごく恥ずかしくなる。


何だかめっちゃ褒められてる…





「たまに顔を見せる内海にずっと惹かれてた。話すのが楽しかった。
来なくなった時…本当に寂しくて辛かった。

生徒と教師という関係性の中では自分の気持ちは伝えられない…

でももうそれも終わり。今日、内海は生徒じゃなくなって俺も内海の先生じゃなくなった」

「…センセー」

「内海。
…俺は他の誰でもない、内海が好きなんだ」





ふと、涙が流れていたことに気が付いた。

だんだんと目頭が熱くなる。


センセー…





「私も…私もセンセーが好きだった…!」





大きく手を広げてセンセーの胸に飛び込む。

いつもと同じ匂いがして、センセーの温もりを感じてとても落ち着いた。



私の『センセーの特別になれたら』という淡い夢が現実になった瞬間だった。



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