日々カオス 〜私に起こるのはこんなことばかり 〜
本章 〜その3〜(ジャパニーズ・マウンテン編)

移住生活

父はマレーシアとシンガポールに拠点を置くことを決定させたみたいで、横浜のアパートを引き払う計画を始めたようだ。私は、自分の仕事の調子も良くなったので、フットワーク軽く動きたいので、複数の箇所に拠点が欲しいと思い始めた。


私は、そしてなぜか刺激を求めて、世の中の流行とは逆に兵庫県北部の田舎に拠点の一つを仮置きすることにした…。

この土地。山の麓だけれど、光や風が気持ち良く入ってきて、人もカラッとしていて、気持ちが良い。都会生まれ、都会育ちの自分にとって、田舎が非常に光って見えた。

味噌の作り方とか、野菜の旬の時期とか今まで知らなかったよ。今まで食べ物がどうやって材料からできているのか知らなかったし、興味もなかった。

食べ物が自分たちの体に入るまでに、天気と土と日々格闘する農家さんやその周りの人たちの応援があって、そこに暮らす人たちがいて、思いがあって…という背後が見えてくるのがなんとも刺激的だ。ここの田舎の人たちは逆に都会が刺激的だと数十年間の間は信じてきたみたいだけど、こういう都会からの人たちに田舎が求められているのを見ると、やはり嬉しいらしい。


移住してきた半分アーティスト、半分猟師さんのところにこの前遊びに行ったけれど、野生の動物と日々格闘する人たちとか、都会で簡単に出会えるわけがなく、とても楽しい。ガーデニングにもハマってきて、鍬で土を耕すのが気分転換の作業になってきた。

そんな田舎では過疎化が進んでいて、行政は大型の仕事を持ち込もうと努力をしている。そこに暮らす人たちの声としても、やはり自分たちのやってきた生業を続ける人もいなくて、その土地の未来に対しての心配は残るところみたい。



この土地で出逢った不思議な女性がいる。どことない懐かしさの雰囲気を漂わす女性。その女性の密かな魅力と影響力に心を奪われていった。

最先端の技術やトレンドを持ちながら、囲炉裏や七輪というものに囲まれながらコミュニティーを形成している。

まるで未来の人工知能のような情の存在しない思考をする女性。その思考があまりにも真意をついており、それに惚れて人は寄ってくる。

それゆえ、時に人は彼女のコメントに激怒し離れていくが、その彼女のスタンスからは強い絆も生まれていっている。

彼女に叱られたいがために、縁がある人はどこからでも会いに来る。私にとっても彼女と出会えたのは避けられない運命だと思っているから、この人との運命の縁を生かしたいと強く感じている。
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