ドラゴンの血を引く騎士は静かに暮らしたい
そうして、魔法騎士団の副団長と一個小隊が国境にて戦闘に入った頃。
その少し先の上空にはラグーンの竜騎士団が、加勢の為に3小隊敵陣との戦闘区域に向かって飛んでいた。

先の戦闘を感知して知らせたのは、伝令役のルカとその相棒の風竜エラルダ。
風竜ゆえに風と音には強い。

「団長、国境にて交戦中の音がします」

そう伝えてきたのを聞いたガルドウィンは、ルカと後方の部下たちに言う。

「俺が先に行く。お前たちはそのまま後から来い」

そう言うと、あっという間にスピードを上げて飛び去って行った。
ガルドウィンの相棒黒竜セイダーは竜騎士団内の竜では一番大きくパワーもあり、かつ賢く、強い。
そして一番の長寿竜なのだが、衰えなど見せぬ現役バリバリの竜である。
ルカの風竜エラルダさえも飛行スピードで巻くのだからあっぱれである。


「もー、団長の超高速飛行は誰も追いつけないのに……」

愚痴を零したルカに他の騎士も苦笑を零しつつ、単騎突撃した最強竜騎士の団長の後を追うのだった。


「セイダー、聞こえるか?」

『あぁ、シルベスターの魔法騎士団の副団長が先頭きって突っ込んだようだな。アレは血気盛んな奴だからのう』

ため息交じりに交わす言葉はどこか年寄りくさい。

セイダー、御歳570歳。
現在竜騎士とパートナーを組む竜の中ではご長寿竜である。
セイダークラスの黒竜なら齢800歳位にはなりそうなのでまだまだ長生き予定である。

「イソルガ殿だったか。確かに、彼は猪突猛進タイプだったな……」


数年前の魔の山境の暴れ魔獣討伐も嬉々として先頭に立ってたくらいだった。

「シルベスターの援護に、間に合えば良いのだが」

『そも、これは援護必要だったかのう?』

セイダーの疑問は残るが、とりあえず行かねばならない事に変わりはないので超高速飛行を続行する事にしたセイダーとガルドウィンはそのまま国境境を目指して飛んだ。
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