君はいつも、心の中に。
病院…デート?
幸「ねぇ叶、一緒に外に散歩しに行かない?」

ある日急に幸がそんな事を言い出した。


『え?うんっ、いいよ!』

最近、幸の顔が浮かない事に気づいていたから、私は快くOKした。

病院の敷地内を歩いてたらデートみたいだなぁ、なんて浮かれてしまう。

幸「あ、この木、桜の木なんだよ。」

大きな大木を見て、木に触れ、私の方を向いて無邪気に微笑んだ。

『えっそうなんだ?
あ、ほんとだ、つぼみだ〜!』


ちっちゃくて可愛い……。

桜の木は、凄く好きだった。

すぐ散っていくのに、気付いたら咲いているから。

桜の木の下にあったベンチに座り、つぼみを見上げた。

幸「僕、桜の木は一番好きなんだ。

落ち着いていて、安らぎを与えてくれる。

散って、枯れて、死んでいくけれど、美しい花が咲く準備をして、いつの間にか、たった一時の存在なのに、存在感を出してここにあるよって、精一杯笑って咲いているから。」


……本当、同じことを思った。

幸は桜を見上げて、綺麗に笑った。

『私も。』
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