小さな奇跡。



「次はさっきの続きね?
立ち位置ついて!」



そー言われ個々に立ち位置についた








「大丈夫…」
そう言って隼人くんがあたしを抱きしめた…その後…


「キャーーーー」

会場からの黄色い声。


「なーにイチャついてんの?ここ会場!」
メンバーはそうふざけて言う。


「だってホントのことだろ?
しかもこいつライブ始まってからずっと悲しそうな顔してる…事実だろ?」


「まぁ。そーかも知らないけど…
ライブ中に抱きつくな!ネットが荒れるぞ!」



会場からは笑いが起こる。


なんて幸せな時間…



ドラマの中では素敵な結末が待ってる…

現実はそう甘くない…


このあと隼人くんがこっそり
「大丈夫か?このあとどっか行くか?」と小声で誘ってくるシーン…なんだけど…



「大丈夫か?
無理するな?ライブ終わったら気晴らしにでも行くか?」



なになに?またアドリブ?どー返せと?



「うん…ありがとう…でも遠慮しとく。
マリンさんに誘われてたでしょ?ね?」

とりあいず台本通りに…

「なら、また今度な?
辛い時はつらいって言え……」


「カット!」


「ぇ?」

今…なんて…?


マイクでは拾われてないみたい…

「辛い時は辛いって言え……相談しろよ…」


空耳じゃ…ないよね?

相談…。


これは…映画の中のあたしに言ってるんだよね?





そーいう事にしておこう…



じゃないと…大変なことになりそう…



「ありがとう…」


聞こえない声でそう言って撮影を終えた







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