また内緒の話
ごく普通の日だった
いつも通りすぎて俺は何も考えていなかった
バイトが終わり
来那といつものように歩いている時だった
来那は初めて人を見て何か反応していた
目の前には4人家族がこちらに向かって歩いていた
「来那?どうした?」
来那は体を震わせその家族を凝視する
「……嘘…」
来那が小さな声で呟いた
「……うっ」
来那は口を押さえて苦しむ
「ら、来那!?」
俺もその姿に動揺する
な、なんだ?
一体どうしたんだ!?
4人家族がこちらに近づくと
香水の匂いがする
来那は依然として苦しんでいる
むしろ苦しそうに咳き込んでいた
そしてその4人家族の母親らしき人がこちらに来て
「来那?」
その声を聞いた瞬間
「……うっ…」
来那は何も出ていないのにえずく
「……っ!」
俺は何がなんだかわからなかった
来那がこんなに苦しむ意味がわからなかったが
この人は来那の名前を呼んでいた
ということは……?