また内緒の話



10分くらいが経った時



ガラガラと病室のドアが開く





すると




「…はは、昨日ぶりだね」



麻生先生が居た









昨日といえば診察ばっくれた時か




「麻生先生昨日はすいませんでした!」



「ううん、来那ちゃんに1番有効的なのは心の治療をしてくれる人だからね
僕らじゃ出来ないことだから大丈夫」



「そうなんですか?」



「うん、でも今日から来那ちゃんは
記憶出来なくなっちゃったみたいだね」



「……そうなんですよ」




「でも、不思議に思わない?」




麻生先生はニヤリと俺を見る





「な、何がですか?」




「記憶出来なくても
なぜか君だけ、特別扱いじゃない?」







確かに






記憶が無くなってるはずなのに






顔も忘れたのに俺の名前を呼んで




俺に会いたがってた






「つまりどういうことかと言うと?」



「………」


俺は思わずゴクンと唾を飲む






「愛の力で愛の治療をするんだよ」



「………は、はあ」




俺は間抜けな顔をして麻生先生を見る





「ほんとだよ?
来那ちゃんを救えるのは君だけだよ」





と、麻生先生は言う




「来那ちゃんは心に深い傷を負ってる
だからその傷を拭えるのは君しかいない
それが出来た時、来那ちゃんはごく普通の生活が出来ると思う
1ヶ月記憶するんじゃなくて
10年前を記憶出来るくらいにね?」




麻生先生は微笑みながらも真っ直ぐ俺に伝えてくれる












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