また内緒の話





「俺の顔、忘れちゃったのか?」



「………うん」




来那は




3日ではなく、1日で記憶が無くなって居た






そんな現実の中で俺の名前を呼んでくれたのが俺の小さな幸せだった





「俺だってわかってくれた?」


「……うん、絶対りつだよ」







1年前に来那が言っていた言葉を思い出す





『りつに抱きしめられてる感覚は覚えてる気がする』







……そうか







抱きしめると俺を思い出してくれるんだ




「りつ、あったかいね」




来那がギュッと抱きしめる



こんなに純粋で柔らかい空気を出せるのは来那だけだろうな




「体は大丈夫なのか?」


「……うん」



と言って来那はベットに潜り込むように入る



「寝てないとお兄ちゃんに怒られそうだから」



あぁ、確かにな



海さんもなんだかんだで来那のこと大事にしてくれてるもんな



「んじゃ寝てな」





また俺は安心する




いつも来那が俺を安心させてくれる







でも、ここから来那は明日も俺を忘れてしまうんだろう




でもまた今日みたいに来那を抱きしめれば思い出してくれるのかな?

















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