また内緒の話
俺が風呂を出ると来那も入れ替わりで風呂に入る
さすがに俺が背中流すなんて言ったら何をしでかすかわからなかったからやめといた
来那は15分くらいしたら部屋に戻ってきた
「お待たせー」
と言って濡れた髪をタオルでゴシゴシ拭いてる来那
部屋に入って早々ドライヤーで髪を乾かしていた
いつも来那の髪はシャンプーとトリートメントのいい匂いするけどそれがいつもよりも強くて心地よくなる
気付いた時には俺は来那の後ろに座り
髪を乾かしてる来那を後ろから抱きしめた
「なにりっちゃん」
「ん?特に何もないけど
ただこうしたくなっただけだよ」
抱きついてると来那は隠してるつもりだけど喜んでるんだろうな
今でもニヤニヤを抑えてるような感じがする
俺にはわかる
「最近思ったんだけどさ」
髪を乾かしながら来那が言う
「私ね、思い出とかは覚えてないんだけど
りつに“抱きしめられた時の感覚”とかは覚えてる気がするんだよね」
「…そうなの?」
「うん、前にもこうやって抱きしめてもらったなーって
付き合う前に抱きしめられたんだろうなーって感覚だけは覚えてる」