また内緒の話
来那が居なくなった途端
お兄さんは間髪入れずに俺の背中を強く押して
「おら、座れ」
と、テーブルの前に座らされた
俺はその瞬間に恐怖に陥ってしまう
や、やばい……
もしかしたら別れろとか言われるかも…
そしたらどうしよ!!絶対無理なんだけど!
「とりあえず来那が帰ってくるまで俺暇だから俺がご飯炊くわ」
お兄さんはそう言ってお米を取り出す
あ、あぁ、そういうこと?
だから俺は座って待ってればいいって事かな?
「お兄さん、僕は座ってればいいですか?」
「誰がお兄さんだ!やめろ
俺、海『かい』って名前だから
そうやって呼んでくれ
んで、座って待ってて」
と、また陽気に答える
海さんか、怒ってる様子はないな
お米を研ぎはじめる海さんは俺にこんなことを言ってくれた
「来那がさ、ずっと律君の話をしてるんだよ
まあずっと2人で暮らしてたし
来那もそういう時期かーって寂しくなっちゃうけど
俺以外にも来那のこと支えたいって言う人が居てくれて嬉しいよ」
と、海さんは言う
そして続けて
「律君には感謝してるよ」
海さんに言われて俺は少し泣きそうになった
「ありがとうございます」
俺がそう言うと
「まあ、来那を裏切ったら一生恨むけどな」
海さんは冗談交じりに言った