溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
私が間違えそうになったのに気づいた彼は、イジワルな顔をしてわざと『西條さん』を強調してくる。


「そ、それはそれなりに経験してきてるからです」


苦し紛れに返すと、彼はニッといたずらっ子のように笑う。


「経験、ね。経験って重ねると上達するんですよね」

「そりゃ、もちろん」


枕をカバーに押し込みながらの、何気ない会話のつもりだった。でも……。


「それじゃあ、もっと経験しないと」

「えぇっ!」


ベッドを挟んで作業をしていた大成さんは、枕を置いた私の手を引き、唇を重ねる。


「ちょ、ちょっと! 仕事中です!」


耳まで熱い。
不意打ちのキスに動揺する私は、次の作業に移れない。


「澪、真っ赤。経験が足りないぞ」

「もう!」


もう名前の呼び方どころの騒ぎじゃない。

ふたりで働けるのはうれしいけれど、心臓が持ちそうにない。
とはいえ、彼の近くにいられるのが、幸せだった。
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