溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「中野さんの仕事が忙しいのは、俺のせいだろうな」


部屋に入りゴミ箱を片付け始めた大成さんは、難しい顔をしている。


「そう、かもしれないですね……」


大成さんは中野さんが彼の代わりに奔走していることに、ずっと前から気づいているに違いない。


「俺があんなことしちまったから、親父は相当怒ってる。中野さんはほとぼりがさめるのを待ってるんだろうな。そのときが来るまで、本当なら俺がすべきだった仕事までこなすつもりなんだと思う」


大成さんはあっという間にシーツを剥がし、新しいシーツを広げた。


「そっち持って」

「あっ、はい」


手が止まっていた私を促した彼は、一緒にベッドのマットを持ち上げながら、複雑な表情をしている。


「中野さん、大成さんのこと『上に立つべき人』だって言ってましたよ」


私がそう言うと、彼は「そっか」と小さくうなずいた。
彼だってやるべきことがわかっているに違いない。


「俺、今週末でハウスキーパーを卒業する」
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