溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「大変申し訳ありません。お出かけになられた際にもう一度お邪魔いたします」


チーフに『すぐに清掃に入ってください』と言われたので、ろくに確認もせずマスターキーで入ってしまった私は深く頭を下げ、謝罪した。
ひどく叱られるかもしれないと思ったのに、ベッドに座っていた彼女は立ち上がり私に声をかけてきた。


「あら、呼んだんだからいいのよ。すぐに掃除お願いね」

「かしこまりました。それでは失礼します」


連泊のお客さまの場合、こういうことがないわけではない。
しかし、私を指名してわざわざ目の前で清掃させようとしている彼女の行動には、なにか裏がありそうだ。

それでも、そんなことを聞くことはできず、私は早速掃除機をかけ、ベッドメイキングに入った。


この部屋はデラックスダブルと言われる、ダブルのベッドが置かれている部屋の中では、グレードが上のほうにあたる。
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