溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「大成さんはあなたの存在に迷惑してるのよ。わかってるの? 彼はアルカンシエルの跡取りなの。あなたでは不釣り合いなの!」


彼女の発言は想定内だった。
だけど、最初から承知の上だったし、大成さんはそんなことを気にしたりしない。


「そう、ですか」


私はそれだけ返事をして、再びバスタブの清掃をしようと洗剤を手にすると……。


「キャッ」


千代子さんが洗剤を跳ね飛ばし、私の肩をむんずとつかむ。


「なによ、その態度! ただの清掃員が、大成さんと結ばれるとでも思ってるの? 図々しいにもほどがあるわ」


彼女は鼻息荒く、私に責め寄る。


「あなた、小四のときにピアノコンクールの全国大会で優勝したらしいわね」


そんなことまで調べてるの? 
大成さんにですら、そこまでは話していないのに。

私のことを詮索しているというのは、本当だったんだ。


「私もそのコンクール出てたのよ。あなたよりふたつ学年が上だけど、私も別の年に優勝しているわ」
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