溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
父が自殺? そんなこと知らない。
母と離婚して疎遠になってしまったけれど、どこかで新しい家族と一緒に幸せに暮らしているのだと思い込んでいた。
だから私に会いに来ないのだと。

千代子さんの言葉に周りの空気が凍り付き、私も顔が青ざめるのを感じる。


「千代子さん、口を慎んでください」


大成さんが低い声を絞り出す。
しかし彼女は止まらない。


「やっとありついた仕事が、アルカンシエルのハウスキーパーなんですよ。そんな人が跡取りの彼に釣り合うわけがないでしょう?」


追い打ちをかける千代子さんは、私が拍手をもらったことが気に入らないのかもしれない。
私がここで失笑を食らうことを予想していたはずだからだ。

父のことで頭が真っ白になった私は、なにも言い返すことができない。


「それ以上彼女を侮辱したら許さない」


大成さんは怒りに満ちた視線を千代子さんにぶつける。


「釣り合うもなにも、私たちの間にあるのは、地位とか立場とかそんな陳腐なものを超越した愛だ」


そしてそう言い放つので、目を瞠る。
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