溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「ありがとうございます」

「うん」


大成さんは小さくうなずき、私の腰を抱く。

実に自然な動作だったが、こんな扱いをされたことがない私はドギマギしてしまい、夜景に集中できなくなった。


「ここに入居してから、何回もこの光景を見たのに、こんなにきれいだと思ったのは初めてだよ」

「えっ?」


どういうこと?


「澪が隣にいてくれるからかな」


彼の言葉に心臓が暴れ出す。


「い、いえ……」


もしかして、口説かれてる?
そういう経験すらなくて、アタフタしてしまう。


「あはは。警戒しないで。澪のおかげで、やっと息が吸える」


それって……望まない結婚のせいで、今まで苦しかったということ?


「それじゃ、いっぱい酸素吸ってください。ヒッヒッフー」

「それ、出産のときじゃ……」

「あ、そうでした」


テンパっている私は、変なことを言ってしまった。
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