日向 HIMUKA
夢と霊界
(八) 夢と霊界

あくる朝。

ぼくは用事を言いつけられる前に、
さっさと朝食をすませて外へ出た。

廊下へ出ると、
朝からちらつきはじめた雪が、
ゆっくり目の前を舞い降りる。

空は低く垂れ下がり、
しびれるような冷たさが頬をさして、
ぼくは一瞬不安になった。

今日はいないかも知れない。
なんてったって日向は気まぐれだからな。

でも、日向はいた。
雪を避けるように、
ゴミ置き場の壁に体をくっつけて座っていた。

遠目に見えるその姿は、
とても小さくて、頼りなげだった。

次の瞬間、
ぼくは、まわれ右をしていた。
日向はあまり手袋をしない。
霊波動を感じにくくなるそうだ。

そして、
それをたいして気にもとめていないような
顔をしているけれど、
寒くないはずはないんだ。

その証拠に、
この前マスクをしてたじゃないか。

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