約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)

110.親友の戦 私の戦 -瑠花-



パパが私の抱えている問題に気が付いてくれているのがわかった。

ずっと秘密にし続けていた苦しかったことが、
まだ簡単に話せるわけではないけど、
ほんの少しでもちょっと理解しようとしてくれる人がいる。


そう思えたのは、私にとって大きな出来事になった先日。


あの後も私は、パパ公認の元、学校帰りに花桜の家へと向かう日々が続いた。


成績も下がってきているし、ママは凄く不安がっていたけれど、
そこのところはパパがちゃんとママと話し合ってくれた。


花桜のところに行く時は必ず、家に連絡を入れること。
帰りが遅くなる時も家に連絡を入れること。


子供みたいだねーってパパに話したらパパには、

「瑠花は何時までたっても、パパとママの子供だからね。
 高校生はまだ未成年だよ。

 最低限の子供のつとめは果たして貰うよ」って

穏やかな顔でにっこりと言われてしまった。


それ以来、朝、登校前に必ずパパとママに今日も行くことを伝える。


その日によって、パパが迎えに来てくれる時もあって、
その時は何時もより、少し長めに花桜の家に滞在させて貰ってる。

学校の授業の間も、家で眠っている間も、
あっちの世界にいる花桜たちのことが気になって仕方がない。


幕末の時代にずっとい続けたあの暮らしも、
決して楽だったかって言われたら、うんとは言えない。


鴨ちゃんとのお別れも、実際に殺されそうになったことも、
本当に怖くて怖くて、早く現代の世界に帰りたいってずっとそればかりだった。

だけど……こうやって、
こっちに戻って来られたからそれで良かったかって言われてしまうと、
やっぱり、向こうにいる皆や花桜や舞たちのことが気になって仕方がない。


どっちの世界にも深く関わりすぎたのかも知れないし、
大切な親友が今も向こうで命をかけて戦を続けているから。



何度も何度も花桜が殺されそうになる夢を見ては飛び起きて、
魘される時間。

ベッドから起き上がって、そっと窓際の壁に持たれて窓を開け、
夜風を感じながら、そっと月を見上げる。

どうか無事でありますように……。

< 163 / 246 >

この作品をシェア

pagetop