約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)


「この場所だ。

 やはり、どんなに反対されても一発逆転を狙うには、
 この場所しかない。

 俺が少数精鋭で、この場所から一転集中で攻め上る。
 榎本さんは海から、ここを砲撃してくれ。

 ド派手に打ち上げてくれたら助かる」



「あぁ、君の望む通り僕は幡龍に乗り込んで、
 海からド派手に希望の砲弾を撃ち込むとしよう。

 その砲弾は皆の魂を揺さぶり鼓舞するだろう。
 新政府軍に俺たちの魂を見せつけよう」



その日、妙に打ち解けた土方さんと榎本さんは、
ビールを飲みかわしながら朝まで夢を語り続けていたみたいだった。




だけど……土方さんの旅立ちの日は、
もう……そこまで忍び寄ってきていた。




新選組が守る弁天台場が新政府軍に囲まれた。
そんなに報せが土方さんの元に届いた。




何もつけず、一人駆け出してゆく土方さん。



「花桜、行くよ」




そのタイミングにあわせるかのように、
いつもは私が戦場へと行こうとするのを窘める舞が、
私の手を取った。



土方さんが走らせていく馬を追いかけるように、
舞も私を乗せて馬を走らせていく。






その刹那、
土方さんの体が落馬していくのがわかった。





ただ一瞬の出来事で、
私は何が起こったのかわからなかった。

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