私の上司はご近所さん

みなとみらいでパプニング


華やかな光を放ちながら回転する大観覧車を横目で見ながら、ワインに口をつけた。前の席に座っている部長は、上品に盛りつけられた前菜を味わっている。

「まずは食事をしよう」という部長に連れられてきたのは、みなとみらいの夜景が一望できるホテルのフレンチレストラン。

キラキラと輝くシャンデリアとアンティーク調のテーブルとイス。見るからに高級そうなレストランに連れて来られ、戸惑うばかり。

「フランス料理は嫌いか?」

いつまで経っても前菜に手をつけない私に部長が気づく。

「そうじゃないですけど……」

「それならどうして食べないんだ?」

ナイフとフォークを置いた部長が首を傾げた。

たとえば今日がクリスマスイブで、このフレンチレストランに私を連れて来てくれたのが部長じゃなくて彼氏だったら、満面の笑みを浮かべながら贅沢なひと時を楽しむだろう。

でも今日はクリスマスイブじゃないし、部長と私は恋人ではない。上司である彼を前に、遠慮するなという方が無理だ。

< 47 / 200 >

この作品をシェア

pagetop