もしも、運命の赤い糸がみえたなら


「森くん、すごいね!明日は出るの?」


あたしは興奮気味に聞いた。


「いや、俺は背番号二桁だし。出れるかわかんないけど、出れたらいいな」


「学校から応援してるね」


「森はずるいよな。野球はうまいし、勉強できるし、委員長だし。おまけに可愛い彼女までいてさ」



ジト目で見るのは平田くん。


「いや、そんなことないって」

「え?森くん、彼女いたの?!」

「いない、いない。おい、平田、嘘を栞菜ちゃんに吹き込むな。お前と違って純粋だから信じるだろ」


平田くんと森くんがじゃれあう。

「そろそろ部活行くか」


帰り支度を終えた天野くんが声をかけると、二人とも野球の道具が入った大きなカバンを肩にかけた。


「私たちも部活に行こう」


朱里ちゃんが幸華ちゃんに言う。


あたしも自分のカバンを持った。



「明日は応援頼むな」



平田くんがそういい、一緒に手を振る森くん。


あたしたち3人も振り返した。

< 61 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop