私はそんなに可哀想ですか?
「あーあ、失敗しちゃったなぁ。どうして気付かなかったんだろ?あんなにも御手洗君を見てた筈なのに」

「バレないようにしてたからな」

意地悪だなぁ

差し出されたカクテルを傾けながら浅田は呟いた。

その話を打ち切る様に浅田は高校時代の色々な思い出を話しだした。文化祭や体育祭、修学旅行に卒業式。

ひとしきり話し切った時、浅田の目はもう過去も今も見てはいなかった。

カウンターに伏せて緩やかに肩を上下させる高校時代の想い人は、やはり22年の時を過ごしていた。

当然の事なのはわかっているが、ほんの少しだけ時の流れを疎ましく思った。


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